合同会社における定款の記載事項、株式会社との違いを解説

合同会社の設立は株式会社の設立に比べて手続がかんたんで、低コストであるという特徴があります。しかし定款が会社の根本原則であることに変わりはなく、条項の一つひとつをよく検討して定めていかなければなりません。

ここで合同会社における定款の記載事項について、基本的なことを解説するとともに、株式会社との違いについても簡単に紹介していきます。

なお、合同会社を設立する全体の流れについてはこちらの記事で解説しております。

目次

合同会社における定款への記載事項

定款への記載事項は大きく「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つにジャンル分けできます。それぞれの内容を示していきます。

絶対的記載事項

会社の持つ“目的”の記載は欠かせません。

何を事業とする会社なのか、を示すことになりますので具体的に事業内容を記載しましょう。

会社の名称である“商号”の定めも置きます。

「第〇条 当会社は○○合同会社と称する。」などといった条項を置くと良いです。

ポイントは、必ず「合同会社」という文言を入れるということです。前後のどちらに挿入しても良いです。

会社の場所を示す“本店の所在地”の定めも置きます。

最小行政区画までで良いため、「第〇条 当会社は本店を〇○県〇○市に置く。」と記載すれば十分です。

その他、合同会社を構成する社員に関するいくつかの事項を記載していきましょう。

記載が必要なのは以下の情報です。

  • 社員の氏名および住所
  • 社員全員が有限責任社員であること
  • 出資の目的およびその価額、または評価の標準

なお、合同会社では法人が社員になることもできます。その場合には当該社員の“名称”を記載しましょう。

相対的記載事項

相対的記載事項とは、記載がなくても定款が無効になる事項ではないものの、一定の効力を生じさせるためには定款に記載する必要がある事項を指します。

例えば経営に関わらない業務執行社員を定め、業務執行を行う者と経営を行う者とを区別する場合にはその旨の条項を置く必要があります。

「第〇条 社員○○と○○は業務執行社員とし、当会社の業務を執行する。」などと規定を置くと良いです。

業務執行社員の中から代表社員を選ぶのであれば、その旨の条項も記載します。社員の互選により代表社員が定めることができる旨規定することも可能です。

その他、「退社についての規定」「会社の存続期間についての規定」「解散時の残余財産についての規定」なども相対的記載事項にあたります。

任意的記載事項

絶対的記載事項、相対的記載事項以外の事項は任意的記載事項と呼ばれます。

定款上に条項を設けなくても、何かしらの規則で定めればその効力は認められます。しかし重要な事項に関しては変更が簡単にできない定款として定めておくことが望ましいです。

「事業年度・決算期についての規定」「公告の方法についての規定」などの条項を設ける例はよくあります。

株式会社の定款との違いとは?

社員全員が有限責任社員である」旨は、合同会社における記載を欠かすことができない事項です。

なぜなら当該規定の存在が合同会社であることを根拠付けるからです。ここを無限責任社員として記載すると合名会社になりますし、無限責任社員と有限責任社員が混合していると合資会社になります。同規定の存在が株式会社における定款との違いとも言えます。

また、公証人による定款の認証手続が不要である点も大きな違いです。

株式会社では株主と経営陣との利害が対立する場面があり、経営と所有が分離されていることから正当に定款が作成されたことの証明を受ける必要性があるのです。これに対し合同会社では経営と所有が一致しています。定款による規制を受ける社員自身が定款を作成することになるため、わざわざ公証役場で公証人に見てもらう必要がないのです。

その他、株式会社における定款についてはこちらの記事で詳しく触れています。

電子定款への適応でさらにコストカットできる

合同会社の場合、上記の通り定款の認証が不要で、その際の手数料が必要ありません。その他設立登記における登録免許税の最低額が株式会社より低く設定されているなど、全体として低コストで済むようになっています。

そしてさらにコストカットする方法として、「書面の定款ではなく、電子定款として作成する」というやり方もあります。

従来の主流は書面、つまり紙で定款を作成するという方法です。この場合には収入印紙代で4万円ほどが必要になります。

しかしながら印紙代は書面のみを対象に発生するものであり、電子データとして作成される電子定款にはかかりません。そのためこれから起業をしようと考えている方は、電子定款が作成できる環境を整備することが推奨されます。

結局のところ、専用のソフトの準備など環境を整えるのにコストもかかってしまうのですが、いったん電子対応しておけば今後の事業効率を上げることもできます。

電子契約などの機会もより増えていくと見込まれていますので、会社の立ち上げを機に環境整備すると良いでしょう。専門家に相談して進めればスムーズに対応することも可能です。