【副業に関するガイドライン】概要や企業が取るべき対応をわかりやすく解説

働き方が多様な現代においては、副業や兼業を認めることがより国全体の経済を回すことに寄与します。そこで、厚生労働省では働き方改革を進める流れに沿い、副業の普及促進を行っています。

そうして策定されたのが「副業・兼業の促進に関するガイドライン」です。現行の法令の下、企業側と労働者側双方が副業に対してどのように取り組むべきかがまとめられています。

以下でその内容を簡単にまとめていきます。

目次

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」とは

「過度な負担がかからないよう、労働状況を管理しないといけない」と言われても、
具体的にどのように取り組まないといけないのかわからない、
法令に準拠した体制を作るためにはどうすれば良いのかわからない、
という状況があります。

そこで、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、副業に関する体制づくりなどの方法が具体的にまとめられています。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf

ガイドラインは、下のように構成されています。

  • 副業の現状
    (副業を希望する者が増えていること、関連する裁判例やモデル就業規則に関することが記載されている)
  • 副業促進の方向性
    (自分の希望する働き方を選べる環境が大事、起業の手段としても有効、地方創生にも資する面もある。ただ、長時間労働にならないよう以下の内容に留意)
  • 企業側が取るべき対応
    • 労働時間の管理
    • 健康管理
  • 労働者側の対応
    (自社のルールを確認、健康や業務への支障をきたさないよう自ら労働時間や健康状態の管理をしないといけない)
  • その他制度
    • 労災保険
    • 雇用保険

ガイドラインは平成30年にまとめられましたが、よりルールを明確にするため令和2年には改定がなされています。

以下では、企業側が取るべき対応に着目して詳しく見ていきます。

副業に関する企業側の対応

まず企業は、基本的な考え方として下の3つを意識すべきとされています。

  1. 企業側と労働者側の双方が納得できるよう、労働者と十分なコミュニケーションをとること
  2. 双方、「安全配慮義務」「秘密保持義務」「競業避止義務」「誠実義務」に注意
  3. 就業規則で、原則副業OKであることを定め、例外的に制限できるケースを定めること

その上で、労働時間健康管理には特に配慮が必要とされています。

副業での労働時間の管理

労働者が副業する場合、労働時間を通算して管理しなければなりません(労働基準法38条第1項)。

第三十八条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049

そこで、副業をしている場合には法定労働時間や月100時間未満などといった上限規制が、副業での時間も通算して適用されます。そのため企業には、副業分も通算して法定の労働時間を超えてしまう場合にも長時間労働への配慮が求められています。

通算して適切な管理をしていくためにも、企業は副業の確認を行います。

ガイドラインでは、この確認を労働者からの申告によるものとし、企業には届出制などの確認をしやすい仕組み作りが求めています。

また、改定後のガイドラインでは、副業先含め労働者の労働時間が管理しやすいように「管理モデル」を掲げています。

管理モデル
出典:https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/content/contents/000707266.pdf

この管理モデルでは、先に働いていた企業の法定外労働時間と副業先での労働時間の合計が、月100時間未満(+複数月の平均80時間以内)に納まるよう、事前に労働時間の上限を決めるという手法を採っています。

働ける範囲を決めることで、労働基準法に違反するリスクを抑えられ、各企業は自社で働いた法定時間外労働についての割増賃金を支払えば良くなります。

ただ、このモデルに従うと副業先での給料が常に割増になってしまいます。そのため、なかなか副業として働こうとする者を受け入れにくいという課題も残ります。

なお、「労働契約を締結しておらず、同法の規定が適用されないケース」と、「同法上の労働時間規制が適用されないケース」があります。

前者は、自営業やフリーランスなど。起業したりコンサルタントをしたりするとき、顧問や理事といった立場になる場合なども含みます。

後者は、農業や水産業の場合。また、高度プロフェッショナル制度に従い働く者なども該当します。

改訂前のガイドラインでは、誰が適用を受けないのかわかりにくい状態でしたが、改定後はこのように具体的に記載されました。

健康への配慮

企業は、労働安全衛生法に基づいて健康診断やストレスチェックなどを行わなければなりません。

前項の管理モデルに従った副業を求めるなど、企業側の指示によって副業を開始した場合には、副業先である他社とも情報交換を行うなどして労働時間を把握。通算した労働時間に基づいて健康状態を良好に保つ措置をとることが求められます。

改訂後のガイドラインにおいては、企業側が労働者に対して「自己管理を行うよう指示」「不調があれば都度相談」などと、具体的な記述がなされています。

より詳しく取り組みを知りたいという企業の方は、厚生労働省が公表しているこちらのパンフレットも参考にすると良いでしょう。

https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/000695150.pdf