【同一労働同一賃金】派遣社員や契約社員に対し企業がしてはいけないこと・問題ないことの具体例を紹介

同一労働同一賃金を実現するために法改正があり、その具体的方針としてガイドラインも策定されています。基本給・手当等の待遇に関する基本的な考え方などが示されています。

本記事では、この示された考え方に基づき、企業がしてはいけないことなどを具体的に説明していきます。

目次

同一労働同一賃金における契約社員やパートの待遇

まずは契約社員やパートに対する待遇から見ていきます。
なお、契約社員はガイドライン上でいう「有期雇用労働者」のことです。企業と半年や1年などと期間を定め労働契約を締結するタイプの従業員です。

短時間労働者なども同じ枠組みで説明がなされていますので、以下の内容は短時間労働者にも当てはまると考えて良いでしょう。

なお同一労働同一賃金に関する基本的な情報、法改正の内容はこちらからご覧ください。

企業がしてはいけないこと

期間を定めて雇われている者に比べると、無期雇用されている通常の正社員はその企業において多くの経験やスキルを持ちやすいと考えられます。しかし、従業員の経験やスキルに見合った基本給を支払うとしている企業において、「正社員は、有期雇用されている者より高い基本給とする」と画一的にルールを置いてしまうのはトラブルに発展するおそれがあります。
例えば、正社員Aが契約社員Bに比べて常に多くの業務経験を有しているとは限りません。Aがその企業に長く勤めていたとしても、現在の業務と関連性を持たない業務をしてきた期間が長いと、Bのほうが豊富な経験とスキルを有していることもあり得ます。

より分かりやすい問題はこちらです。

具体的な成果に基づいた報酬の支給をする場合における、「通常の正社員が達成すれば行っている支給を、短時間労働者Cが達成したときには行っていない」という例です。こちらも、やはりトラブルになり得ます。

賞与でも同じように考えましょう。

会社の業績や貢献の程度に見合った支給をしている企業において、「正社員と同等の貢献をしているにもかかわらず、契約社員に同一の賞与を支給していない」というのは問題です。

こういった状況にある企業は、早急な是正に取り組まなければなりません。

他にも、「(食費の負担補助として支給する)食事手当」の支給に差を設けていること、転勤のある企業において正社員には用意されている「地域手当」が契約社員には用意されていないことなども問題です。

また、他に注意したいのは「深夜労働や休日労働に対する手当」です。
短時間労働者が深夜や休日に働いた場合、普段の勤務時間が短いことを理由に、当該手当を通常の従業員より低く設定してはいけません。

企業がしても問題ないこと

差が生じているだけで問題になるわけではありません。ここでは、従業員間に差が生じても問題とならないケースを紹介します。

ある企業で、成果(販売数など)に応じた報酬の支給をしていると想定しましょう。
絶対的な平等を守らなければならないのであれば、フルで従事する正社員と短時間労働者とではどうしても目標達成率に差が出てきてしまいます。
そこで、企業が「短時間労働者は半分の成果で半分の支給を行う」とする措置を取ったとします。成果目標のみを見れば短時間労働者に有利なルールを設けたようにも見えますが、相対的な平等を実現するために合理的な措置であるとも捉えられます。実際、ガイドライン上でもこういった取り組みは問題にはならないとされています。

また、勤続年数を基に報酬を設定している企業において、期間の更新をしている契約社員とそうでない契約社員がいる場合、それぞれが同等の能力を持っていても支給額に差が生じます。しかし、企業が勤続年数に応じて支給すると決めている場合には、結果として「更新している契約社員に多く支給」されていても問題ありませんし、逆に更新を通算した年数で評価をしていないほうが問題です。

同一労働同一賃金における派遣社員の待遇

派遣社員には派遣元事業主がおり、そこから派遣先へ派遣され、従事することになります。働き方の仕組みが異なるため、ガイドライン上でも契約社員等と区別されて基本的な考え方が示されています。

しかし、最も根本にある考え方は同じです。そのため、基本給や各種手当、福利厚生など、正社員と合理的な理由なく差を設けてはいけません。

なお、派遣社員の場合には派遣元事業主が存在しており、その派遣元事業主にも同じ考え方に従った措置が求められます。

同一労働同一賃金に従った待遇改善に関する疑問

ここでは、待遇に関してごく一例を紹介したに過ぎません。そのため、各企業は自社内の規定を見直し、ガイドラインに沿った内部統制ができるように体制を整えなくてはなりません。

しかし、どのように是正すれば良いのか分からず困ることも出てくるかもしれません。
その場合には「働き方改革推進支援センター」に問い合わせをしてみましょう。

事業主の方からの相談、事業所訪問による支援も無料で実施しています。各都道府県に設置されていますので、管轄のセンターにまずは問い合わせしてみることをおすすめします。

また、都道府県労働局では待遇改善を目指す事業主を対象に、「キャリアアップ助成金」も用意しています。一定条件を満たすことで助成が受けられるかもしれませんので、この機に取り組んでみましょう。

なお、改正がなされたパートタイム・有期雇用労働法や、ガイドラインに関するお問い合わせについては、各都道府県に設置されている労働局雇用環境・均等部に連絡しましょう。