近年、働き方の多様性が重要視されるようになり、副業を認める流れが強まっています。常に副業を認めることが良いわけではありませんが、必要以上に副業を禁止することは避けるべきです。
以下では実際に副業を導入し、働き方を改革した企業の事例を挙げていきます。副業OKの仕組みを導入しようと考えている企業の方はぜひ参考にしてください。
目次
副業OKとした企業の事例
副業に関する新体制を整えた企業を、一部ピックアップして紹介していきます。
ソフトバンク
ソフトバンクは2017年、多様な働き方を取り入れることによる生産性向上を目指し、副業を原則禁止とする就業規則を改定しています。自社での業務に影響が出ない範囲内であれば副業をすることも認められています。
ソフトバンクのこの事例では、副業を解禁することで生産性の向上を狙っているというのが特徴的です。副業を行うことで新たにスキルや知見が得られると判断し、その後の自社のためになると考えたのです。
単に従業員の希望に応えるのみならず、将来の事業の活性化等に繋げるという目的を果たすために取り入れられています。
グロービス
グロービスはビジネス向けの動画配信などを行っている企業です。こちらも2017年、すべての正社員に対し副業を認めると公表しました。
それ以前は一部の社員を対象としていましたが、これを拡張したのです。多様な働き方を認めることでキャリアの選択肢を広げるとともに、個々がスキルを向上、人脈を広げることで本業への還元を狙っています。
また、グロービスで特徴的なのは、一部の従業員に対し他の企業の役員や顧問、アドバイザーとしての就任なども認めているという点にもあります。
同社はその他リモートワーク、フリーアドレスなど柔軟な働き方を積極的に取り入れており、働きやすい環境づくりに努めている企業としても知られています。
ANA
2020年、ANA(全日本空輸)が副業OKの幅を広げるとしたことも話題になっています。ANAではそれ以前、従業員が勤務時間外に個人事業主として働くことは認めていましたが、他社との雇用契約までは認めていませんでした。
しかし、新型コロナウイルスの流行によってダメージを受け、その幅を広げるに至りました。というのも、感染症対策が取られるようになってから大きな業績悪化を受け、従業員の年収を削減することになったからです。別の収入源を確保しやすくすることでその方針を立て、雇用契約を結ぶ副業も認めるようにしました。
ただ、給与削減への対応策としてのみならず、副業から得た経験やスキルを本業へ活かすという狙いもあるとされています。
自動車業界
自動車業界ではまだあまり副業OKが広がっていません。
過去には日産が副業を解禁した例がありますが、このときはリーマンショックによる打撃を受けての取り組みでした。つまり、給与を削減する代わりに他で収入源を持っても良い、とすることが目的とされていたのです。
2021年ではむしろ自社の契約社員を多数正社員化するとされており、社内のリソースを自社に蓄積する方針を採っています。
副業に関して動きがある自動車メーカーで言うと、ダイハツが挙げられます。同社では働き方改革の一環で、副業を一部導入していますし、副業先として人員の募集も行っています。自社の人員に対し副業を認めるだけでなく、他社の人員も受け入れることで新たな知見を得る狙いがあります。
企業は副業による効果を得ようとするのであれば、副業として働く者を受け入れると主張するのも効果的かもしれません。
サイボウズ
サイボウズは比較的早い時期から副業を認めていました。さらに近年では上の例同様、自社を副業先として受け入れる態勢も示しており、「複業採用」として別途採用の枠を設けています。
従業員が働きやすいように働ける環境を目指し、このことがかえって離職率を低く維持することに効果を発揮しています。
Zホールディングス
Zホールディングス(旧ヤフー)も比較的柔軟な働き方を取り入れている企業で、フレックスタイム制やオフィス内の働く場所を固定しないなどのユニークな制度も実践してきていました。そして副業に関しても事前申請を行うことで認めるようにしています。働く期間や業務内容、収入などを伝え、本業に支障がでない範囲で副業が可能とされています。
副業を解禁し、柔軟な働き方を実現しよう
いくつか事例を紹介しましたが、他にも著名企業で副業を認めている企業はたくさんあります。サッポロビール・日本航空・花王・カゴメ・レノボ・ライフネット・コニカミノルタ・メルカリ・freeee・DeNAなどまだまだあります。
副業を認めていない企業がダメということはありませんが、副業を解禁している企業の方が世間から良い評価は得やすいです。特に合理的な理由なく副業を禁じている企業は規則の内容を見直す必要があるでしょう。
もちろん、リスクがないわけでもありませんので慎重に体制を整えていく必要があります。解禁によってどのような問題が生じ得るのか、逆に、同時に副業を認めることでどのような良い効果が狙えそうか、ということも併せて考慮していきましょう。
副業に関してはこちらのページでも解説しています。